「仲が良すぎる会社」も危ない。組織の湿度が高すぎるときに起きること
2026/04/10

〜 過湿と乾燥、それぞれの症状と私が気づいたこと 〜 「組織の湿度」研究 ブログシリーズ Vol.2 by 児玉光史(チームBeeNii) ※ このブログは「組織の湿度」研究シリーズの第2回です。Vol.0(創業ストーリー)、Vol.1(なぜ湿度を測るのか)から読むと、より理解が深まります。
湿度は、高ければいいわけではない
Vol.1で「組織の湿度」という概念を紹介した。感情ではなく、慣習の有無で組織の状態を測るアプローチだ。 そこで今回、多くの経営者が最初に聞きたいであろう問いに向き合う。 「湿度は、高いほど良いのか?」 答えは、ノーだ。 「ドライな職場は問題だ」という認識は正しい。だが「ウェットであれば良い」は誤解だ。湿度が高すぎる組織——いわゆる「過湿」の状態——には、乾燥とはまた別の深刻な問題が生じる。 人間が快適に過ごせる室内湿度は40〜60%と言われる。それより低ければ乾燥して体に障り、それより高ければ蒸し暑くてカビが生える。組織も同じだ。
「甲子園を目指す人を笑う方が、コストが低い」
うちで実際に起きた話をする。 ある時期、とある社員同士が非常に仲良くなった。それ自体は悪いことではない。だがその2人の間に、ある種の「空気」が生まれてきた。事業に前向きに向き合うよりも、組織や経営に対してちょっと斜めに見るような雰囲気だ。 思い返すと、私は学生時代野球部に所属していたが、その時の集団心理に近いものがある。 甲子園を目指そうと言い続けることは、実はかなりしんどい。でも「甲子園を目指してる人を笑う」のは、コストがずっと低い。批判や皮肉は、すぐに場を盛り上げられる。顧問の先生の悪口を言うと場が盛り上がる、あの感じだ。 本人たちに悪気はなかったと思う。ただその空気が、周りにも少しずつ伝染していった。これが過湿の一形態だ。湿度が高まりすぎて、「馴れ合い」が「内向きの批判」に変質していった状態だ。 これは経営者である私の責任だと思っている。向き合うことがやや難しい、苦しいと感じさせてしまった環境を作ったのは、私だ。
私がやった「朝の30分」という試み
その状況を変えたくて、毎朝20〜30分の全体ミーティングを始めた時期がある。 内容は雑談ではない。事業が今どうなっているか、何を目指すのか、この状況でどう向き合っていくか——そういうことを前半で話し、途中からで数人のチームに分かれて、自分の言葉で事業や業務のことを話す時間を設けた。 これが効いた人もいた。だが同時に、苦しくなった人も出てきた。 社長の話を聞くだけなら、ストレスは少ない。でも「自分の言葉で事業のことを話す」という行為を求められると、それができない人は苦しくなる。できないというのはスキルではなく、事業に正面から向き合う覚悟やスタンスがないと、向き合うこと自体が難しいということだ。 結果的に、その朝の時間が辛くなって辞めていった人もいたと思う。 これをどう評価すべきかは、正直今でも難しい。その人たちが悪かったとも全く思わない。ただ、「正面から向き合う場を作り続けること」で、それが楽しい、やりがいがあると思える人がより元気になる側面はあった気がしている。
「存在を承認してもらえれば、向き合える」という仮説
ここで一つ、問いを立てたい。 難しい課題を前にして、どうしてもうまくいかないとき——人はどうするか。 一つは、その課題に正面から向き合い続けること。だがこれは、心理的にかなりしんどい。もう一つは、課題から目を逸らすこと。事業を斜めに見たり、批判したりすることで、「うまくいかない自分」と向き合わずに済む。 私が感じているのは、この選択に「存在の承認」が深く関わっているということだ。 うまくいかなくても、自分がここにいることを認めてもらえている——そう感じられる人は、課題に正面から向き合い続けられる。逆に、承認がない組織では、人は自分を守るために課題から目を逸らそうとする。事業を否定することで、「できない自分」を正当化しようとする。 誕生日にギフトを届けること、毎朝チェックインすること——こうした小さな慣習が、実は「正面から向き合う力」を支えているのかもしれない。 これは私の仮説だ。証明はできない。ただ、うちの組織を見ていると、そういう心理がありそうだな、と感じることが何度もあった。
おわりに:社長の狙いと、社員が感じていることの差分を知る
湿度の管理で一番大事だと思っていることがある。 社長の狙いと、現場の社員が感じていることの差分を、常に把握し続けることだ。 社員が「もっとこうしてほしい」と感じていることに、社長が焦って全部応える必要はない。組織には経営者として目指す方向があり、それに沿った湿度設計がある。社員の声に振り回されるのではなく、自分の狙いをちゃんと持ったうえで、「社員は今どう感じているか」を把握しながら少しずつチューニングしていく。 それが、湿度管理の本質だと思っている。 過湿になっていないか。乾燥しすぎていないか。社長が思っている湿度と、社員が体感している湿度にズレはないか——この問いを持ち続けることが、最初の一歩だ。 次回Vol.3では「なぜ今、組織の湿度が経営課題になったのか」——リモートワーク・Z世代・人材流動化という三つの構造変化を読み解いていく。
▼ 自社の湿度を今すぐ診断する(無料・約5分)
https://team-humidity-check.vercel.app
▼ BeeNiiについて詳しく知りたい方はこちら
https://gift.jimo.co.jp/beenii#about