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リモート・Z世代・転職増加——この3つが重なった今、なぜ組織の「空気」が壊れやすくなったのか

2026/04/13

リモート・Z世代・転職増加——この3つが重なった今、なぜ組織の「空気」が壊れやすくなったのか

〜 なぜ今、組織の湿度が経営課題になったのか 〜 「組織の湿度」研究 ブログシリーズ Vol.3 by 児玉光史(チームBeeNii) ※ このブログは「組織の湿度」研究シリーズの第3回です。Vol.0(創業ストーリー)から読むと、より理解が深まります。

「意識しなくても湿度が保たれていた時代」が終わった

少し前まで、多くの日本企業は組織の湿度をわざわざ意識する必要がなかった。 毎朝同じオフィスに全員が集まり、残業も飲み会も当然のように共にこなし、長く同じ会社で働き続ける——そんな環境では、湿度はある意味「自動的に」維持されていた。むしろ高すぎる湿度(過湿)の方が問題だったくらいだ。 だが今、その前提が三つの方向から同時に崩れている。 リモートワークの定着。価値観の多様化。人材の流動化。 この三つが重なることで、「意識しなくても湿度が保たれていた時代」は終わった。経営者が意図的に湿度を設計しなければ、組織は確実に乾燥していく——それが今の現実だ。

変化①:リモートワーク——「出社すると勝手に情報が入ってくる」が消えた

うちが全員出社を選んだ理由

地元カンパニーでは、今も基本的に全員出社を続けている。リモートワーク前提の採用はしていない。コロナ禍の過程で採用した一部のメンバーについては、週2回程度の出社をお願いしている。 なぜ全員出社にこだわったのか。理由はシンプルだ。 一つは、事業がまだ固まっていないこと。発展途上の事業でリモートによる指示を出すのは、非常に難しい。マネージャーの負荷が跳ね上がって、管理だけに時間をとられてしまう。うちのマネージャーはまだプレイングマネージャー的な側面が強いので、その負荷を増やしたくなかった。 もう一つは、情報の蓄積の問題だ。 出社すると、勝手に情報が耳に入ってくる。 これが実はすごく大事だと気づいた。リモートと出社のハイブリッドにすると、情報の蓄積に明らかにムラができる。出社している人には自然と情報が集まるが、リモートの人には意図的に伝えようとしなければ届かない。その「発動コスト」が積み重なると、じわじわと組織の湿度が下がっていく。

リモートワークが奪ったもの

もちろんリモートワークには良い面もある。日本中から人を採用できる。フィットする人材に出会える確率が上がる。これは正直、魅力だと感じている。 だがうちはその方式を採用しなかった。 テレワーク経験者への調査では、課題の第1位が「社内のコミュニケーションに支障がある」(47.6%)だった。失われたのは業務上のやりとりではない。廊下でばったり会ったときの一言、昼休みの何気ない雑談、「最近どう?」という声かけ——そういう「偶然の接触」だ。 これは湿度チェッカーの「オフィスで業務中に、笑い声や雑談の声が日常的に聞こえる」という質問が測っているものそのものだ。リモートワークが増えた組織では、この項目のスコアがまず下がる。

変化②:価値観の多様化——「世代の差」より「個人の事情の差」

Z世代だから違う、というより

「最近の若い人は違うよね」という話をよく聞く。だがうちの実感では、世代間の差はそこまで大きくない。 それよりも大きいのは、それぞれが置かれているライフステージの差だ。 仕事以外に守るものや優先したいことが多い人と、そうでない人では、働き方への価値観がかなり違う。これは世代の問題というより、個人の状況の問題だ。 ただ一つ言えるのは、「自分の生活・健康を守ることが第一にあって、その上でどのくらい会社や社会に貢献するか」という価値観が、以前より広く浸透してきているということだ。これは若い世代に限らず、全体的な流れだと感じている。

この価値観の変化が湿度設計を難しくする

かつては「会社のために」という価値観が共通していれば、自然と慣習が生まれた。 だが今は違う。個人の事情が多様になっている。「飲み会は2次会まで参加するのが当然」という慣習は、子育て中の社員には苦痛だ。「有給を取るときは理由を話す」という不文律は、プライベートを切り分けたい人には侵害に感じる。 うちでチェックインを続けているのは、こうした個人の多様性を尊重しながら、それでも「一緒にいる感覚」を作るためだ。飲み会なしでも、毎朝5分だけ仕事と無関係な話をする。形は最小限でいい。慣習さえあれば、つながりは生まれる。

変化③:人材の流動化——「辞めることが当たり前」になった

転職が「普通のこと」になった

総務省の労働力調査によれば、2024年の年間転職者数は331万人と3年連続で増加した。正社員から正社員への転職者数は99万人で、統計で遡れる2012年以降で最多だ。 うちの実感では、独立してやめる人が多かったこともあり、離職そのものをネガティブに捉えることはあまりなかった。むしろ人が入れ替わることで、業務の属人化が解消されたり、古い慣習が風化して新しい風が入ってきたりする効能は感じてきた。

「合わない人が自然と離れていく」という現象

もう一つ気づいていることがある。 毎朝のチェックイン、朝の全体ミーティング——こうした慣習を続けていると、それに合わない人が自然と離れていく。 会社の魅力を提示し続けられなかった私の不徳の致すところではあるが、別の見方をすれば、慣習が組織の「適正化装置」として機能しているということだ。慣習と価値観が合う人が残り、合わない人が次の環境に移っていく。結果として、組織の方向性が揃っていく。 人材が流動化している時代だからこそ、「誰が来ても定着できる組織」ではなく、「うちの慣習に共鳴できる人が残っていく組織」を意図的に設計することが重要になっている。

三つの変化が重なることで何が起きるか

リモートワーク・価値観の多様化・人材の流動化、この三つは独立した変化ではない。互いに連動しながら、「意識せずとも湿度が保たれていた時代」を終わらせた。 リモートワークで「偶然の接触」が減り、価値観が多様になって「画一的な慣習」が通用しなくなり、転職が当たり前になって「長くいれば自然とわかり合える」という前提が崩れた。 この三つが重なる職場では、意図的に湿度を設計しない限り、じわじわと乾燥が進む。 かつて「湿度管理」と言えば「飲み会」や「社員旅行」で済んでいた時代は終わった。今は、個人の事情を尊重しながら、それでも組織への帰属感を育む慣習を意識的に設計することが求められている。

おわりに:だから「測る」ことが必要になった

「なんとなく空気が重い」という直感は、もはや「なんとなく」では解決できない時代になった。 三つの構造変化が重なった今、組織の湿度は放っておけば下がっていく。それを防ぐには、現状を正確に把握することから始めるしかない。社長が思っている湿度と、社員が感じている湿度のズレを知ること。そのズレを出発点に、少しずつ慣習を設計していくこと。 次回Vol.4では「組織の湿度を測る5つの軸」——実際にどんな慣習を観察することで、組織の湿度が読み取れるのかを具体的に見ていく。

参考資料

・総務省「労働力調査(詳細集計)2024年年平均結果」 ・労働政策研究・研修機構「テレワークの課題:コミュニケーション面などが主」(2024年)

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