会社の離職率はどのくらい?計算で見る課題と改善のポイント
「離職率」という言葉は知っているけれど、実際に計算したことはない、そんな企業は多いのではないでしょうか。ここでは、離職率を計算することで浮かび上がってくる問題点と、その改善方法について解説します。
離職率とは?
離職率(りしょくりつ)とは、ある期間内に企業や組織を退職した従業員の割合を表す指標です。この率は、企業や組織の従業員の定着度や離職の問題を評価するために使用されます。
離職率が高い場合、人材の流出が多いと見なされ、組織にとって人材確保や育成の戦略を見直すきっかけとなることがあります。逆に低い場合は、従業員の定着が良いと評価されることが多いです。
離職率の計算方法
それでは、実際に計算してみましょう。
離職率:基本の計算方法
離職率の計算方法は、基本的には以下の公式を用いて求められます。
離職率 (%) = (特定期間内に退職した従業員の数 ÷ 特定期間内の従業員の平均人数) × 100
ここで、
特定期間内に退職した従業員の数:この数値は、計算を行う年度や月などの期間内に退職した全従業員の数を指します。
特定期間内の従業員の平均人数:これは通常、期間の初めと終わりの従業員数を合計して2で割ることで求められます。
離職率の計算例
例えば、ある企業で1年間に20人の従業員が退職し、その年の初めには200人、年末には180人の従業員がいた場合、平均従業員数は
(200+180) ÷ 2 = 190(人)
となります。
その場合の離職率は以下のように計算できます。
離職率 = (190 ÷ 20 ) × 100 = 10.526・・・ 約10.53%
このように計算された離職率は、組織の人事管理の効果や従業員の満足度の指標として利用されます。
離職率計算方法で気を付ける点
離職率の計算方法にはいくつかの注意点があります。これらを適切に考慮することで、より正確で意味のある離職率のデータを得ることができます。
1. 計算期間の選択
離職率を計算する際には、一般的に年間を通じて計算することが多いですが、業種や事業の性質によっては季節性の影響を受けやすいため、季節による変動を考慮することが重要です。短い期間で計算する場合はその時期特有の要因が影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
2.従業員数の平均値の計算
平均従業員数は、期間の初めと終わりの従業員数を単純に平均するだけでなく、より頻繁にデータを取ることで正確性を高めることができます。月ごとや四半期ごとの平均を取ることで、よりダイナミックな人員変動を反映させることが可能です。
3.退職の定義の明確化
退職者数を計算する際には、何をもって退職とするかを明確に定義する必要があります。例えば、自己都合退職、会社都合退職、定年退職、契約終了など、退職の理由によっては離職率の解釈が変わることがあります。
4.外部要因の考慮
経済状況、労働市場の状態、産業内の動向など、企業外部の要因も離職率に大きく影響を与えることがあります。これらの要因を考慮に入れることで、離職率の変動原因をより正確に理解することができます。
5.比較の基準
自社の離職率を他社や業界平均と比較する場合、同じ条件でデータが集められているか、同様の計算方法が用いられているかを確認することが重要です。これにより、公平な比較が可能になります。
これらのポイントを考慮することで、離職率の計算とその結果の解釈がより精確に行えるようになります。
企業の離職率を計算する重要な理由
離職率を計算することは、組織や企業にとって多くの重要な意味を持ちます。以下は、その理由と重要性をいくつか挙げたものです:
1.人事戦略の評価
離職率は、人事政策や働き方改革が効果的かどうかを評価する指標として役立ちます。高い離職率は、労働条件、報酬体系、職場環境、キャリア開発機会など、見直すべき人事施策の存在を示唆している可能性があります。
2.従業員の満足度とエンゲージメントの指標
一般的に、従業員の満足度が高いと離職率は低くなります。逆に、高い離職率は従業員が職場に対して不満を抱えていることの警告信号となることがあり、従業員のエンゲージメント向上のための取り組みが必要かもしれません。
3.コスト管理と効率
離職には再募集、選考、トレーニングのコストが伴います。離職率が高いと、これらのコストが積み重なり、組織の財務に大きな負担を与えることがあります。したがって、離職率を把握し、それを最適化することはコスト効率の向上に直結します。
4.企業文化とブランドの影響
高い離職率は、外部に対して企業文化に問題があるか、あるいは労働条件が良くないという印象を与えがちです。これにより、優秀な人材の獲得が困難になったり、企業のブランドイメージが損なわれることがあります。
5.業界内での競争力
離職率の低減は、安定した労働力の維持につながり、結果として事業の持続可能性と競争力を高めることに寄与します。従業員が長く働くことで、経験と知識が蓄積され、業務効率やイノベーションが向上することが期待されます。
6.法的リスクの管理
離職率が異常に高い場合、労働法違反や不公正な雇用慣行が原因である可能性があり、これにより法的なリスクや訴訟のリスクが生じることがあります。離職率を通じてこれらの問題を早期に発見し、対処することが可能です。
これらの理由から、離職率を計算し、適切に管理することは、組織運営の健全性と効率の向上、さらには全体の成長と発展に欠かせない要素です。
離職率の業種別平均値は?
以下の表は、特定の業種における2023年と2021年の離職率をまとめたものです。2023年のデータは一部の業界にしか利用できなかったため、2021年と2023年の両方のデータがある業界もありますが、いくつかの業界では2023年のデータが提供されていません。
業種 | 2023年の離職率(%) | 2021年の離職率(%) |
---|---|---|
レジャー・ホスピタリティ業界 | 6.5 | 84.9 |
芸術、娯楽、レクリエーション業界 | 6.7 | – |
宿泊および飲食サービス業界 | 6.4 | – |
専門職およびビジネスサービス業界 | 4.9 | 64.2 |
交通、倉庫、および公益事業 | 1.6 | – |
政府 | – | 18.0 |
建設業 | – | 56.9 |
製造業 | – | 39.9 |
貿易、輸送、公益事業 | – | 54.5 |
情報産業 | – | 38.9 |
金融活動 | – | 28.5 |
教育および健康サービス | – | 37.3 |
この表は、各業界の離職率がどのように異なるかを示しており、特にレジャー・ホスピタリティ業界の離職率の大幅な変動が注目されます。2021年に非常に高かった離職率が2023年には大きく低下しています。
企業の離職率が高くなる理由は?
企業の離職率が高くなる理由は多岐にわたります。これらの理由を理解することは、問題の根本的な原因を特定し、効果的な解決策を講じるために重要です。ここではいくつかの一般的な原因を挙げます。
離職の理由
1.労働条件の不満
従業員が給与、福利厚生、労働時間、休暇などに満足していない場合、他のより魅力的なオプションを求めて退職する可能性が高まります。
2.職場環境の問題
人間関係の問題、上司とのコミュニケーション不足、いじめやハラスメント、労働安全に対する不安など、職場環境が悪いと従業員の離職率が上がります。
3.キャリア成長の機会の欠如
昇進やキャリアアップの機会が限られている、または明確なキャリアパスが設定されていない企業では、従業員が成長や学習の機会を求めて他へ移ることがあります。
4.労働の過重負担
業務負荷が過度に重いと、ストレスや燃え尽き症候群(バーンアウト)を引き起こすことがあります。これが続くと、従業員は健康を守るために職場を離れることを選ぶかもしれません。
5.組織内の変化と不安定性
企業の再編、経営陣の変更、事業戦略の頻繁な変更など、組織内の不安定さや不確実性は従業員を不安にさせ、職を探す動機となり得ます。
6.管理の質の問題
効果的でない管理や権威主義的な管理スタイルは、従業員の満足度とエンゲージメントを低下させる主要因です。
7.技術やプロセスの時代遅れ
現代の技術やプロセスを採用していない企業では、従業員がフラストレーションを感じ、より革新的な企業に移る可能性があります。
8.適切な従業員の選定とオンボーディングの欠如
新しい従業員が仕事や企業文化に適合していない場合、早期離職が発生しやすくなります。
企業がこれらの問題に対処し、従業員のニーズと期待に応えるための戦略を実施することが、離職率を低下させ、組織の全体的なパフォーマンスを向上させる鍵です。
企業が改善すべき点
企業の離職率が高い場合に改善すべき点はいくつかあります。これらの改善策を適切に実施することで、離職率を減少させ、従業員の満足度とエンゲージメントを向上させることができます。以下に、主要な改善点を挙げます。
1.労働条件の改善
競争力のある給与や福利厚生の提供、ワークライフバランスを考慮した勤務体系の導入など、労働条件の改善が必要です。
2.職場環境の改善
コミュニケーションの向上、公平な評価システムの確立、多様性と包摂性の強化を目指し、職場の環境を改善します。
3.キャリア開発機会の提供
従業員がキャリア目標を達成できるように、継続的な教育やトレーニング、昇進の機会を提供します。
4.労働負荷の適正化
業務量を適正に管理し、必要に応じて人員を増やしたり、作業効率を向上させるための技術的サポートを提供します。
5.効果的なリーダーシップの育成
管理職に対するリーダーシップトレーニングを強化し、部下を支援しエンゲージメントを高める能力を持った管理者を育成します。
6.組織文化の強化
企業の価値観と一致した行動を奨励し、開かれたコミュニケーションと透明性を持った企業文化を築きます。
7.従業員エンゲージメントの向上
定期的なアンケートやフィードバックセッションを実施し、従業員の声を聞き、そのフィードバックを業務改善に活かします。
8.オンボーディングプロセスの強化
新入社員が組織の一員として迅速に適応できるように、効果的なオンボーディングプログラムを実施します。
これらの改善策を実行することで、従業員が安定し、長期的に企業に留まることを望むようになり、結果的に企業全体のパフォーマンスも向上します。
離職率の改善に「BeeNii」
贈り物を従業員に提供することは、離職率を低下させるための補助的な手段として一定の効果がある可能性があります。贈り物がもたらす影響は、主に従業員のモラルやエンゲージメントの向上に関連しています。以下に、贈り物が離職率に与える影響について考慮すべき点をいくつか挙げます。
1.従業員の認識と感謝
贈り物は、従業員に対する感謝の表現として効果的です。これにより、従業員がより価値を感じ、企業に対する忠誠心を高める可能性があります。感謝されていると感じる従業員は、企業に長く留まる傾向があります。
2.関係の構築
社内での小さな贈り物や表彰は、従業員と管理層との関係を強化し、より良い職場の環境を作り出すのに役立ちます。良好な人間関係は、職場の満足度を向上させる重要な要素です。
3.エンゲージメントの向上
贈り物や報酬が従業員のモチベーションを高め、エンゲージメントを向上させる効果があります。これにより、従業員は自分の仕事により一層熱心に取り組むようになります。
4.公正性と透明性の重要性
贈り物を適切に管理し、全従業員が公平に扱われていると感じるようにすることが重要です。不公平感があると、逆に不満や不信感を招き、離職率を高める可能性があります。
5.根本的な問題の解決
贈り物は表面的な問題に対処することはできても、給与の低さ、キャリア成長の欠如、労働条件の悪さなど、離職の根本的な原因を解決するものではありません。これらの問題に対処しない限り、贈り物だけでは長期的な解決策にはなり得ません。
贈り物を活用することは、従業員との良好な関係を築く一助となり、エンゲージメントを促進する手段として有効ですが、それだけで離職率を大幅に低下させるわけではありません。組織全体の戦略の一部として組み込むことが重要であり、給与、労働環境、キャリア成長機会など、他の要素も同時に改善することが必要です。
ここまで、離職率の計算方法と重要性について紹介してきました。
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