亀屋茂廣　懐中志る古

じいちゃんの代から阿倍野にきて、私で三代目やけど、喫茶店と和菓子屋がくっついた店言うんわ、当時は珍しいかったよなぁ。

せやなぁ。わしもおまえも子供の頃から同じ味やで、今でも店に出しよる和菓子は毎日試食して出しとるからなぁ。

あんこは天気や気温で炊き方も変わってくるし、味見する自分らが調子悪いとあかんから、お店の人らも健康診断して、体調管理をしっかりするようにもしとるからなぁ。

懐中志る古は熊野詣に行く人が疲れを取るために食べてたもんやから、わしらもいつも欠かさず食べてるなぁ。

疲れた時に懐中志る古食べたらしんどさも取れんもんなぁ。大掃除の後とか、夏バテの時とか、スポーツの後とかにもええもんなぁ。

初代が引き継いだ味とやり方でちゃんと作っとるから、わしらの同世代だけやのうておまえらの世代にもようけ食べてほしいんや！

おとっちぁんは昔気質の職人やからな。うちの息子らがこの店継ぐかはわからんし自由やけど、今のコロナ禍でも新たな和菓子を考えて、新しい誰も口にしたことない和菓子を作ったるわ！

わしは作らんぞ！おやじの菓子を作りつづけるわ（笑）。お前の時代や！

私も和菓子職人やけど営業もできるんは、おとっちぁんがおるからや。いつかは私もおとっちぁんの域までいくで！